洋服同様、着物にも“羽織もの”と呼ばれるアウターがあります。
けれども、種類がいくつもあるので、どれを選べばいいのか迷ってしまうことも多いはず。
今回は、そんな“羽織もの”の基礎知識をご紹介します!
羽織もののメリット

(1)防寒対策
羽織ものの主な目的のひとつは防寒。
カーディガン感覚で使える羽織から、しっかり寒さを防げるコートまであるので、気温に合わせて調節ができます。
(2)着崩れ・汚れ防止
和服で人混みに入ってしまうと、帯などが引っかかって崩れてしまうなんてことも。そんなとき羽織ものがあれば、着崩れを防ぐことが可能です。また、塵や埃などの汚れから着物を守る役割もあります。
(3)帯結びを隠せる
「今日は帯結びを失敗しちゃったかも…」
そんな着付けに不安を感じる時も、一枚羽織れば帯や着物を隠すことができるので一安心です。
(4)コーディネートの幅が広がる
着物とのコーディネートを楽しめるのも、羽織ものの醍醐味。
色柄のバランスはもちろん、TPOも踏まえながらその場にふさわしいオシャレを楽しめます。
羽織ものの種類
羽織ものの分類の仕方には色々ありますが、今回は以下のように分けてご紹介します。
種類 | シーン | 季節 |
羽織 | カジュアル | 秋~春 |
和装コート (道行・道中着) | フォーマル~カジュアル | 秋~春 |
夏用コート | フォーマル~カジュアル | 夏 |
雨コート | 雨天時 | 通年 |
防寒用コート | フォーマル~カジュアル | 冬 |
ストール・ショール | フォーマル~カジュアル | 通年* |
上記はあくまで目安なので、素材やデザインによって異なることがあります。
では、それぞれ具体的にどのような特徴があるのか見ていきましょう!
羽織(はおり)
羽織は、主にカジュアルシーンで活躍するアウター。
前が開いた状態になっているので、羽織紐で留めて着用します。洋服でいうカーディガンのような役割なので、室内でも基本的に脱がなくてOK。元々は防寒着ですが、より華やかな着姿になるため、オシャレとして楽しむ人も多いのが特長です。
丈の長さには特に厳密な決まりはなく、時代によってさまざま。カジュアルシーンなのでお好みでも良いと思いますが、近年は長めの羽織がトレンドのようです。
着物だけでなく、洋服の上からラフに羽織って和洋ミックスに着こなすのもおすすめ。
和洋ミックスコーデのコツとは?>>

和装コート
ジャケット感覚で着るような和装用コートは、衿の形が特徴的。
千代田衿、へちま衿、都衿、被布衿 など多彩な種類があり、衿によって格も変わってきます。
中でも定番なのが、次に紹介する道行と道中着です。
道行(みちゆき)

前をボタンで留めるスタイルで、和装の羽織ものの定番。
色柄によってフォーマルからカジュアルシーンまで幅広く活躍します。
「道行衿」と呼ばれる四角い衿が特長で、羽織や道中着よりもフォーマルな印象に。
道中着(どうちゅうぎ)

衿あわせが着物と同じ形になっている羽織もの。
前に紐がついているので、それを結んで留めます。どちらかというとカジュアル向けですが、 無地やぼかし・上品な小紋柄などであれば、少しあらたまった場所に着ていくことも可能です。
夏用コート
主に初夏から盛夏の季節で活躍する羽織もの。
レースや紗など透け感のある素材でできており、主に淡い色合いが多くなる夏の着物が汚れるのを防ぐ目的で着用されます。
羽織、道行、道中着タイプなどがあります。
防寒用コート

主にウールやベルベット素材などで作られた、真冬用コート。
和装用のコートは、衣紋を抜いて着る着物でも着やすいように、衿元がゆったりとした作りになっているのが特長。帯のふくらみなどを考慮して、身幅が大きめに作られています。
形はへちま衿や道行衿、ポンチョ、ケープなどさまざま。衿廻りや袖部分に余裕のある作りになっているものであれば、洋装用のコートで代用も可能です。

雨コート

着物や帯が濡れるのを防ぐ雨の日用のコート。
着丈を調整できる二部式のものと、裾まで一枚ですっぽり隠れる一部式があり、一部式の場合は自分の着丈に合うように誂えてもらうのが一般的です。

ストール / ショール

アウターとは少し違いますが、サラッと羽織れるストールやショールも着物に合わせる定番アイテム。
必ずしも和装用である必要はなく、洋装用のものでもOKです。
巻き方によって多様なオシャレを楽しめるのがいいところ。
羽織ものの素材
羽織、道行、道中着、夏用コートは主に絹ですが、ポリエステルなど化繊や木綿なども多く見られます。
防寒用の厚手のコートの場合は、ウールやアンゴラなど。
羽織や和装コートの場合、古くて着れなくなった長着(着物)を仕立て直してリユースすることもあります。
雨コートは、防水加工は施されていますが、素材自体は絹や化繊など様々です。
正絹と化繊の違いとは?>>
羽織や道行、道中着は室内では脱いだ方がいい?

基本的に羽織以外のアウターについては、室内で脱ぐのがマナーです。
羽織も、茶室に限っては脱ぐものとされています。
着物用のアウターは、防寒はもちろん、コーディネートをオシャレに見せたり、着崩れを防止したりと、メリットがたくさん!
ぜひ着物コーデにアウターを取り入れて、和装をより快適に楽しんでみてください♪