帯留めとは?使い方やブローチで代用する方法をチェック

小物・羽織もの

帯周りにさり気なくプラスするだけで、オシャレ感を高めてくれる帯留め。
今回は、帯留めを使えるシーンやコーディネートのコツ、ブローチを帯留めにアレンジする方法などをご紹介します!

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帯留めとは

帯留めとは、帯飾りの一種。
主に三部紐と呼ばれる幅の狭い平組の帯締めに通して使われます。

三部紐とは?>>

“帯締め”が“帯留”と呼ばれていた!? 帯留めの歴史

帯留めの歴史は比較的浅く、誕生したのは江戸時代の後期。
もともと着物の帯は今よりもずっと細い紐状のもので、着物がはだけないように固定しておくものでした。しかし、次第に帯は現在のように装飾的な傾向が強いものへと変わってゆき、帯を支えるものが必要になったことで帯締めが登場。当時はこの“帯締め”のことを“帯留め”と呼んでいました。

金具のついた帯留め文化が生まれたのは、文化10年(1813年)頃。
当時は帯締めと帯留めが一体型になったような形状で、紐の両端に金具がついており、下金具の切込み部分に上金具の突起を差し込んで留め合わせるような仕様になっていました(下図参照)。実用性重視であまり飾り気はなかったようですが、文政(1818~1830)から江戸末期には、花模様をかたどったり、簡単な彫りを施したものが現れます。

『鵜真似双紙』 / 国立国会図書館

明治時代に入ると、帯留め文化に大きな変化が訪れます。廃刀令が出されたことにより、刀装具をつくっていた多くの彫金師の仕事が激減。新たな突破口を見出すために彼らが着手したのが、帯留め作りでした。このころから帯留め一体型の帯締めはパチン留と呼ばれるようになります。

明治時代中期頃のものは、金具の大きさも非常に小さなものでしたが、一部京都の芸妓の間では“ぽっちり”と呼ばれる大型の金具がついたものが使われていたようです。

そして、明治時代後期にはパチン式の代わりに、裏の突起部分にもう片側の金具を引っ掛けて止める「引っ掛け式」などが登場。現在のような紐通し式の帯留めは、昭和初期頃から普及していったようです。

水野年方 今様美人

水野年方『今様美人』 / 国立国会図書館

帯留めがファッションアイテムとして全盛期を迎えたのは、大正~昭和初期。素材やデザインの種類が豊富になり、実用品から装飾品へと飛躍的な発展を遂げました。

明治時代中期頃までは真鍮や銅、銀で作られたものが主流でしたが、ダイヤモンドや翡翠、真珠、象牙、鼈甲などの宝石類や、金銀などの貴金属、蒔絵や螺鈿、陶磁器、七宝、モザイクガラスなど、さまざまな種類が登場。デザインにもこだわった芸術性の高い帯留めも多く見られるようになり、装いを華やかに彩りました。

明治末期から昭和にかけて活躍した女形役者・花柳章太郎は、「指輪、帯止めは衣裳をつけた女性全体を総合的にまとめる、書でいえば落款のようなもの」という言葉を残しており、当時の人々にとってオシャレに欠かせないアイテムであり、センスの見せ所でもあったことが伺えます。

<参考資料>
『日本の装身具 「飾り」と「装い」の文化史』露木宏 / 東京美術

帯留めの使えるシーンとコーディネート方法

着物の装いの完成度を底上げする、名バイプレイヤーともいえる帯留め。
ここからは、具体的な帯留めの使い方をチェックしていきましょう。

フォーマルシーン

フォーマルシーンでの帯留めは、ダイヤや真珠、ルビー、サファイアなど、宝石をあしらった高級感のあるものが最適。白鼈甲や金蒔絵なども礼装向きです。

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カジュアルシーン

カジュアルシーンではどんな帯留めでもOK。
帯留めは、和装小物の中でもっとも素材や色、形のバリエーションが豊富なので自由なコーディネートを楽しむことができます。
着物に合ったものを取り入れるのはもちろん、季節やイベント、着ていく場所にあわせた遊び心のあるモチーフを取り入れるのも◎

カジュアル着物一覧はこちら>>

帯留めを付けない方がいいNGシーンは?

帯留めは、お茶席では茶器を傷つけてしまう可能性があるため、基本的にNGとされています。
また、不祝儀の場においても、装いに華やかさを添える帯留めは不釣り合いということで使用しないのが一般的です。

ブローチで代用する方法とは?

「好みの帯留めが見つからない」「もう少し帯留めのバリエーションが欲しい」という方は、ブローチで代用してみてはいかがでしょうか?

帯留めパーツ(帯留め金具)を使えば、簡単にブローチを帯留めにアレンジできます!

金具の筒部分に針を通すだけで、あっという間にブローチが帯留めに大変身。帯留めのバリエーションを手軽に増やすことができるので、オシャレの幅も広がります。

その他、帯留めパーツにはいろいろな形があるので、箸置きやボタンなどをくっつけてアレンジしたり、レジンなどで自作したりすることも可能。DIYで簡単にオリジナルのものが作りやすい点も、帯留めの面白さといえます。

帯留め2個付けや帯飾りとの組み合わせも!

カジュアルシーンであれば帯留めを2個付けしたり、根付と組み合わせてもOK。
帯周りに華やかさがプラスされ、より印象的な装いを演出できます。


バリエーションの豊富さとアレンジ性の高さで、ファッションとしての着物の楽しみをより加速させてくれる帯留め。
ぜひあなたも帯留めを攻略して、さらに魅力的な装いにアップデートしてみてはいかがでしょうか?

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