振袖や留袖、訪問着、付け下げなど、いろいろな種類の着物がありますが、正直その違いがよくわからないという方も少なくないはず。そこで今回は、フォーマル着物の種類や特長をまとめました。
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フォーマル着物の種類と格
フォーマル向けの着物には、主に以下が挙げられます。
- 振袖
- 留袖
- 訪問着
- 付下げ
- 色無地(紋あり)
- 江戸小紋(紋あり)
振袖や留袖は第一礼装、訪問着や付下げは準礼装、色無地や江戸小紋は紋が入っていれば略礼装として着用できます。具体的な着用シーンの目安は以下の通りです。

ただし、近年はフォーマルシーンも様式も多様化しており、必ずしもかしこまった装いで行くとは限りません。出かける場所のドレスコードや同行する相手にあわせて選ぶようにしましょう。
フォーマル着物の種類6選
ここからは、フォーマル向けの着物である振袖・留袖・訪問着・付下げ・色無地・江戸小紋の、それぞれの特長について詳しく解説していきます。
振袖

成人式でもおなじみの振袖は、未婚女性の第一礼装。フォーマル向けの着物の中でもっともオシャレの自由度が高く、色柄はもちろん帯結びや着付け小物のバリエーションが豊富で自分好みのスタイルが楽しめます。
振袖は、他の着物よりも長い袖丈が主な特長。大振袖・中振袖・小振袖の3種類があり、袖が長いものほど格が高くなります。
袖の長さ | 用途 | |
大振袖 | 104cm~120㎝ほど | ・主に婚礼衣装 ・成人式 |
中振袖 | 100cm前後 | ・主に成人式 |
小振袖(二尺袖) | 60cm~85cmほど | ・主に卒業袴とセットで着用 |
留袖

留袖には、黒留袖と色留袖の2種類があります。
黒留は結婚式で着用される既婚女性の第一礼装。結婚式に列席する母親、親族、仲人夫人が着用し
ます。多くは「一越縮緬」と呼ばれる生地で仕立てられ、染め抜き日向紋の五つ紋をつけるのが基本。最近は染め抜きではなく、簡易的な貼り紋を使っているものも見られます。実家と婚家の紋とどちらにするかは、地方や家によって異なるので、前もって確認しておきましょう。
色留袖は、黒地以外の留袖のこと。礼装として既婚・未婚問わず着用可能で、五つ紋なら黒留と同格になり、三つ紋以下なら結婚式やお茶会、パーティーなどに着ていけます。ちなみに、三つ紋以下の色留なら比翼がなくてもOKです。
ちなみに、留袖の柄のつき方は裾絵羽模様と呼ばれ、一枚の絵画のように繋がった模様が裾のみに施されているため、上半身は無地になっています。
訪問着

訪問着は、準礼装の定番。結婚式や入卒式などの式典、お茶会など幅広いシーンで活躍します。柄が繋がっている絵羽模様になっているのが特長で、慶事の席にふさわしい華やかな雰囲気のものが主流。紋が入っている方が格が高くなりますが着用シーンが限られるので、幅広く楽しみたいという方は紋なしを選んでもよいでしょう。
「紋入りの訪問着」は「紋なしの訪問着」よりも格が高くなります。
現在では、様々な場面で着られるように紋を入れない方が多くなりましたため、普段から目にする訪問着は「紋なしの訪問着」が多いでしょう。
付下げ
付下げ(付け下げ・附下)は、準礼装向けの着物のひとつ。訪問着よりあっさりした柄のものが多く、格も訪問着よりやや略式ととらえられることが多いです。
訪問着と付下げは一見違いが分かりにくいですが、製造工程に大きな違いがあります。訪問着はつながった一枚の絵のように見える絵羽模様になっているため、一度反物を着物の形に仕立てた状態で柄がつけられます。一方の付下げは、反物の状態で柄がつけられるため、仕立てあがったときに模様が繋がっていません。
着用シーンは訪問着と基本的には同じで、紋がついたものは格が上がります。
色無地

色無地は、黒以外で染められた一色染めの着物のこと。紋ありで略礼装、紋なしでオシャレ着として着用可能。グレーや紫など落ち着いた色味のものは色喪服として法事や年忌に着て行けるなど、幅広いシーンで活躍します。
色無地は柄がない分、地紋と呼ばれる生地に織られた模様で雰囲気が変わるところがポイント。地紋があると生地に凹凸が生まれて立体感が出ることから、華やかな印象に。逆に地紋がないものは、スッキリ落ち着いた着姿を演出できます。
江戸小紋

江戸小紋は、カジュアル着物の定番・小紋の一種。もともと武士の礼装である裃(かみしも)を由来とする柄であるため通常の小紋と比べると格が高く、紋を入れれば略礼装として着用できます。
江戸小紋は遠くから見ると無地に見えるほど繊細な柄が特長。柄が細かいものほど上品な印象になります。
フォーマル着物にあわせる帯
フォーマル向けの着物には、フォーマル向けの帯をあわせます。袋帯が基本ですが、どの袋帯でもよいわけではありません。

フォーマル向けの袋帯は、金糸・銀糸が入った豪華な雰囲気の織りの帯です。一方、金糸・銀糸が入っていない織りの袋帯や染めの袋帯はお洒落着用になるため、フォーマルシーンには不向きです。

フォーマル着物はレンタルと購入、どっちがいい?
フォーマル着物はもちろんレンタルでも購入でもどちらでもOK。購入には、新品・リサイクルの両方があります。それぞれメリット・デメリットがあるので、自分の都合にあったものを選んでみましょう。
メリット | デメリット | |
レンタル | ・値段が手ごろ ・お手入れや保管の手間がかからない ・セットで手軽に準備できる | ・自分にあうサイズがない場合がある ・自分の家の家紋を入れられない ・汚したり返却が遅れたりすると追加料金がかかる |
購入(新品) | ・自分サイズに仕立てられる ・自分の家の家紋を入れられる ・子どもや孫に受け継げる | ・購入金額が高額 ・お手入れや保管の手間がかかる ・仕立てあがるまでに時間がかかる |
購入(リサイクル) | ・正絹の高級な着物がリーズナブルに手に入る ・仕立て済みのものが多いので購入してすぐに着用できる | ・自分にあうサイズがない場合がある ・汚れや破損などダメージがある場合がある ・自分の家の家紋を入れられない ・お手入れや保管の手間がかかる |
着る機会が限られる黒留袖や振袖といった第一礼装は、比較的レンタル率が高め。一方の訪問着や付下げなど準礼装・略礼装については幅広いシーンで着用できるので、それなりの頻度で着る予定がある方は、レンタルより購入したほうが都合がよいかもしれません。

着物の礼装は、ルールが多くて敷居が高く感じることがあるかもしれませんが、ハレの日のお祝い気分を盛り上げる特別な装いです。フォーマルなお呼ばれを控えている方は、ぜひこの機会に和装での参加を検討してみてはいかがでしょうか?