草履と下駄の違いとは?履物の知識と使い分け方を解説

小物・羽織もの

着物の履物の定番といえば、草履と下駄。

和装になじみのない方や着物初心者の方にはこの2つの違いは、意外と知られていないかもしれません。簡単に言うと、草履はフォーマルからカジュアルまで楽しめるものですが、下駄はカジュアルシーン限定のもの。 特に歩くときに音が鳴る下駄は場所を選ぶので、履けるシーンがより限られます。

そんな草履と下駄にはそれぞれいくつか種類があり、ものによって格や足元の印象がガラリと変わります。それぞれの種類や特徴を把握して、上手に履き分けましょう♪

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草履

フォーマルシーンからカジュアルシーンまで楽しむことができる草履。

ただし、台の色やかかとの高さ、素材などによって使えるシーンが異なるので、その場に合ったアイテムを選ぶことがポイントです。

草履の素材

草履の元々の素材は藁(畳表)。

江戸時代より徐々に発達し、明治時代以降に改良されて今の形になったそうです。

現在、多くの草履の芯はコルクでできており、表面は合皮や牛皮が使われています。

草履の使い分け方

台や鼻緒は、色が薄いものほどフォーマルに、濃いものほどカジュアルな印象になります。

また、草履はかかとが高いほど格上に。

さらに金や銀、白の配色のものは、礼装・準礼装のものになります。

留袖・振袖(礼装)の草履

かかとの高さ三段重ね以上で、高さが5cm前後のものを。
台の色淡い色のものが一般的。
鼻緒の色台の色と同色のものが一般的。佐賀錦など金糸や銀糸が使われた豪華なデザインのものであれば、より格が上がります。

礼装用の草履は、バッグとお揃いがおすすめ(セットで販売されていることがほとんど)。

色については、留袖はゴールドや白ベースのものが基本ですが、振袖は自由です。

訪問着・付け下げ・色無地・小紋など(準礼装)の草履

かかとの高さ三段重ね以上で、高さが5cm前後がおすすめ。
台の色淡い色のものが一般的。台はマットやエナメルなどの布製のものがほとんど。

マットは着物に幅広く使えます。一方でエナメルはややカジュアルな印象に。

鼻緒の色上品ですっきりとした印象に見えるよう、淡い色合いのものがおすすめ。
シンプルな鼻緒のものであればカジュアルで使えるものも。

準礼装には、かかとが高く淡い色合いのものを選びます。

結婚式であれば華やかなものを、入学式や式典などはシンプルものなど、着ていくシーンや合わせる着物によって上手に使い分けましょう。

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小紋・紬・木綿など(カジュアル)の草履

かかとの高さ好みでOK。
台の色淡い色は上品に、濃い色だとカジュアルな印象になります。

台の素材も布や革、爬虫類系などさまざまなので、コーディネートによって個性を楽しんでみましょう。

鼻緒の色濃い色のものであれば、個性的な雰囲気がUP。足元のアクセントになります。

濃い色の草履はカジュアル向けなので、フォーマルには不向き。

逆に金糸や銀糸が入ったエレガントな礼装用の草履は、カジュアルには不釣り合いなのでNGです。

下駄

浴衣などカジュアル着に合わせる下駄は、なんと古墳時代にはすでにあったとも言われている長い歴史を持つ履物

草履よりも台の形や素材のバリエーションが豊富なので、好みに合わせておしゃれなコーディネートを楽しんでみましょう♪

下駄の素材

下駄の素材は木。

主に桐でできており、その台にさまざまな加工が施されます。

台の形

・舟形(ふながた)
その名の通り、底が船のような形をしたもの。草履のような形なので、きちんとした印象に見えます。

・芳町(よしちょう)
台に2枚の歯がついている駒下駄(こまげた)の一種。

女物の下駄の基本形で、江戸時代から戦前まであった花街・東京日本橋の芳町の芸者が履いていたことが名前の由来となっています。

歩きにくさはありますが、カランコロンと音が鳴り、下駄ならではの粋な雰囲気に。

・右近(うこん)
土踏まずの当たりがくりぬかれた形のもの。

比較的新しい形のもので、底に滑り止めのスポンジが貼られているものが多く見られます。

高さもなく、着地面積も広いのでサンダルのような感覚で履くことができます。

・千両(せんりょう)
前の歯が斜めについているのめりと呼ばれる形のひとつ。

千両役者が好んで履いた形とされているため、この名がついています。

歯が減っていくと右近下駄のような履き心地に。

似たものに、後ろの歯を丸く仕立てた小町(後丸下駄)と呼ばれる台の形もあります。

こちらは後ろの歯が太いので、より安定感が出ます。

他にも、歯を差し替えられる日和下駄や高歯(利休)下駄などといった差し歯の下駄、七五三などでよく使われるぽっくりなどがあります。

主な台の素材

・塗り
木製の台に、黒や朱などの漆を塗ったもの。

漆の面に螺鈿や金箔などを埋め込んだものも見られます。

木目(柾目)を出すために薄く塗料を重ねた捌きや、はけの跡を生かすはけ目などの種類があります。

メリット・汚れが目立たない

 ・水をはじく

・白木
桐の素材を生かして磨き上げ、最もシンプルに仕上げられた台。

サラッとしていて履きやすさはありますが、足の跡が付きやすいので、足袋を着けて履くのもおすすめです。

メリット・吸汗性・吸水性があるので滑りにくい

・焼き
桐台の両面を焼いて、木目の美しさを引き立てたもの。

汚れにくいので、普段履きにぴったりです。

メリット・汚れが目立たない

 ・湿気を含まない

・鎌倉彫り
台に鎌倉彫りを施した高価な下駄。

柄の種類も豊富で、色も基本は一色ですが、中には多彩に塗り分けたものも見られます。

メリット・履き込むほどツヤが出て、風合いが変わる
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鼻緒

鼻緒の素材や太さ

鼻緒と一言で言っても、素材はさまざま。

また、太さによっても履きやすさや印象が異なります。

<主な素材>
・ホースヘア : 馬の毛で作られたもの
・印伝(いんでん): 漆を型染めしたもの
・本天(ほんてん): 高級ビロード
・罠
・麻

例えば、鼻緒が太いと履き心地はいいですが、太すぎると野暮ったく見えることも。

一方、細いと足の指が痛くなることもありますが、すっきりとした粋な足元に見せることができます。

主な鼻緒の種類

・丸(まる)
1枚の生地を筒状にした鼻緒。丸鼻緒とも呼ばれます。

・福林(ふくりん)
女性物の鼻緒に多い作り。裏地が表地を回り込むように仕立てられており、上から見ると表地の両サイドに裏地が見える形になります。

色合いが豊かに見え、足当たりがよくて歩きやすいのが特長。

・高原(たかはら)
表と裏を別の生地で仕立てた鼻緒。

・二石(にこく)
細めの鼻緒を2本重ねて仕立てたもの。

二層構造になっているため、足の甲にかかる負担が上手く分散されて足が痛くなりにくいというメリットがあります。

草履・下駄のサイズの選び方

できれば、草履や下駄は専門店に行ってオーダーメイドで作ってもらうのがおすすめ。

鼻緒が自分の足に合っていないと、足が痛くなってしまうこともあるからです。

一方、既製品は靴のようにフリーサイズやS、M、Lなどと分かれており、サイズ感が限定されますが、値段も手ごろで気軽に買えるのがメリットです。

かかとは少し出るくらいが◎

鼻緒の調整具合にもよりますが、かかとは台から2cm程度出るのが理想

着姿がキレイに見えるのはもちろん、着物をかかとで巻き込む心配がありません。

ただし、慣れないうちはかかとちょうどのサイズか、少し出るくらいの方が歩きやすいでしょう。

また、小指は少しはみ出てもOK。台の作りから見ても、ややはみ出るのが自然です。

鼻緒を指の奥まで差し込まない

慣れていないとついつい鼻緒をググっと指の奥まで入れてしまいがち。

鼻緒を指先を引っ掛けるような感じでゆったり履くのが正しい履き方です。

足袋は履いた方がいいの?

草履に足袋はマスト

礼装はもちろん、カジュアル着だったとしても、草履を履くときは必ず足袋を合わせましょう。

白の足袋が基本ですが、カジュアルであればシーンや着物に合わせて色や柄の入ったものでもOKです。

一方の下駄は足袋を履かなくてもOKです。

フォーマル・カジュアル両方に使える「IWASA(岩佐)」の草履

岩佐 草履

最後におすすめの草履をご紹介!
鼻緒や草履、和装バッグ、フォーマルバッグを手がける老舗メーカー「IWASA」の定番人気商品『花唐草草履』です。

上品&シンプルなデザインで、フォーマル・カジュアル問わず幅広いシーンで履き回し可能。安定感のある幅広の台を使用しているので、着物初心者の方にもおすすめです。海外生産や機械による量産は一切行わず、メイドインジャパンにこだわった品質の良さも魅力。

実際に草履をお試ししたレビュー記事も公開しているので、気になる方はぜひチェックを!

公式サイトで『花唐草草履』を詳しく見る>>
シーン問わず履き回せる。「IWASA(岩佐)」の人気商品『花唐草草履』の履き心地をレビュー
今回は、老舗メーカー「IWASA(岩佐)」の草履をレビュー!定番人気商品『花唐草草履』を実際にお試しし、履き心地などをレポートします。ぜひ草履選びの参考にしてみてください♪【PR】※本ページにはプロモーションが含まれています...

正しく使い分けて足元のオシャレを楽しもう♪

草履と下駄は似て非なる履物。

和装はルールが厳しそうですが、最低限のTPOさえ守ればあとは自由です。

履物の基本をマスターして、ぜひ足元のオシャレもぜひ楽しんでみてください!

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