正絹と化繊の着物の違いとは?それぞれのメリット&デメリットを解説!

和装の基礎知識

振袖や訪問着・小紋など、着物の生地でよくみられる正絹と化繊。一見すると大差のないように思えるかもしれませんが、それぞれにメリット・デメリットがあるんです。

正絹と化繊 の特長を知って、用途に応じて上手に使い分けてみましょう!

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着物の生地の種類

着物の生地には、主に以下のような種類があります。

正絹婚礼衣装や留袖、振袖、訪問着、小紋、紬など幅広く使われている着物の定番素材
化繊(化学繊維)振袖や訪問着、小紋など“やわらかもの”の素材として使われており、ポリエステルやレーヨンなどの種類がある。
木綿木綿素材の着物はそのまま“木綿の着物”と呼ばれる。基本的に単衣仕立てで、袷・単衣の時期問わずロングシーズン着用可能。浴衣の素材の定番素材でもある。
ウールウール素材の着物はそのまま“ウールの着物”と呼ばれる。木綿と同様単衣仕立て。
通気性に富んでいることから、主に夏着物や浴衣の素材として使われている。

正絹と化繊の違いとは

正絹と化繊には具体的にどのような違いがあるのでしょうか。それぞれのメリット・デメリットから、その違いを見ていきましょう!

正絹のメリット・デメリット

小紋、正絹、着物、きもの、絹
メリットデメリット
正絹・着心地がいい
・上品な光沢感がある
・保湿性・吸湿性にすぐれている
・裾さばきがいい
・値段が高い
・お手入れの手間がかかる

正絹の着物とは、絹100%で作られた着物のこと。肌に吸いつくようななめらかな質感と優美なシルエット、上品な光沢感が特長です。歩くときに着物が足にまとわりつかずなめらかに裾をさばける上、静電気も起きにくいため冬場でも安心して着用できます。

また、保温性・保湿性にもすぐれているので、夏は涼しく、冬は暖かく過ごすことができる点も魅力です。

一方で、天然素材である正絹は化繊よりも作られるまでに手間暇がかかっているため、比較的値段は高くなりがちまた、基本的にプレタではなくお誂えでの購入が主流なので、反物代と仕立て代の両方がかかることになります。

さらに、絹はとても繊細な素材。水や摩擦・日光などに弱く、シミや黄変などができやすいため、保管やお手入れには細心の注意が必要です。

化繊のメリット・デメリット

メリットデメリット
化繊・値段が手ごろ
・お手入れが楽
・静電気が起こりやすい
・モノによっては安っぽく見える
・通気性が悪い

一方の化繊の着物は、化学的に合成した繊維で作られたもので、ポリエステルやポリアミド系合成繊維、レーヨンなどが使われています。

絹と比べるとかなりリーズナブルで、安いものであれば3,000円程度から購入可能プレタで売られていることも多いので、買ってすぐ着用できる点もメリットです。

化繊の着物は、水に強くシワになりにくいので汚れたり汗をかいたりしても自宅の洗濯機で洗濯OK。雨に濡れてもシミや汚れが残りにくいので、雨の日用の着物としてもおすすめです。

ただし、化繊は絹に比べて摩擦による静電気が発生しやすい傾向があります。どうしても気になる場合は静電気防止用のスプレーなどを使うとよいでしょう。通気性も絹に比べると劣るため、暑い時季は着づらさを感じるかもしれません。

また、一口に化繊といってもピンからキリまであるので、モノによっては安っぽく見える場合があります。

正絹と化繊の見分け方

正絹と化繊の見分け方は主に2つ。

1つは肌触りの違い。正絹はポリエステルよりも質感がなめらかで、着た時のフィット感も異なります。

もう1つは着物から少し出ている糸などを切り取って燃やしてみる方法。正絹だと黒くなり、髪の毛が燃えたような独特のにおいがして、手ですりつぶすとパラパラとした粉末状になります。化繊の場合は、燃えた箇所が黒くまとまって固まり、正絹のように粉末にはなりません

正絹と化繊。初心者にはどっちがおすすめ?

正絹と化繊では着心地や風合いが微妙に異なるため、基本的に好みによります。自分が着用するものなので、自分が着たいものや着心地がいいものを選ぶのが一番です。

ただし、自分の好みがあまりわからないという方やなるべくリーズナブルに購入したい方、お手入れに手間をかけたくない方は化繊がよいでしょう。

また、普段着には化繊、ちょっとかしこまった場には正絹など、シーンによって使い分けるのもおすすめです。

正絹と化繊のいいとこどりをした「シルック®きもの」もおすすめ!

まるで正絹のようななめらかな質感と光沢感を持ちながら、自宅で洗濯できてシワになりにくい画期的な着物が東レの「シルック®きもの」です。

蚕の繭から絹糸が作られる工程そのものをポリエステルで再現し、正絹に限りなく近い仕上がりを実現。正絹の着物と並んでも遜色のない上品な装いを叶えてくれる最高級ポリエステル着物として、フォーマルからカジュアルまで幅広いシーンで活躍します。

そのほか、高品質な化繊として、シルックの廉価版であるシルジェリーや、夏向けの素材であるセオアルファなどが挙げられます。

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正絹と化繊で格は変わる?

化繊は正絹の代替素材として使われていることが多いため、振袖から小紋まで、幅広い着物に使われています。正絹以外の素材としては木綿やウール、麻などがあり、これらは正絹の着物と区別されて普段着向けに限定されていますが、化繊の場合は素材で格が下がるということはありません。

正絹であろうと化繊であろうと、訪問着であればセミフォーマルシーンに、小紋であればカジュアルシーンで着用する形になります。ただし、化繊はものによっては安っぽく見え、正絹の着物に比べて見劣りしてしまうことがあるので、特にフォーマルシーンでは「シルック®きもの」など上質感のあるものを選んだ方がよいでしょう。


正絹と化繊は、どちらが優れていてどちらが劣っているかは問題ではありません。それぞれのメリット・デメリットがあるので、着て行くシーンや好みにあわせて上手く使い分けることが大切です。着物の種類だけでなく素材の違いもしっかり把握して、より快適なカジュアル着物ライフを楽しんでみてください!

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