カーディガンのような感覚で使う和装の防寒具の一つである羽織。
色柄が豊富なので、おしゃれアイテムとして楽しむ人も多いアイテムです。
今回はそんな羽織の基礎知識や羽織紐の種類についてご紹介します!
羽織の歴史

羽織とは、もともとは男性が着用するものでした。けれども、江戸時代に深川芸者が着用し始めたことをきっかけに、女性の間にも広まったと言われています。
その後、一時幕府により女性の羽織が禁じられましたが、明治以降になると女性も自由に着用できるようになったそうです。
羽織を着る季節

通常羽織は、だいたい10月頃~翌5月、袷の着物を着る時季に着用することが多いです。気温の高い時季に着る単衣や薄物に合わせる場合は、レースや紗などの羽織がおすすめ。

ただし、和装は季節を先取りするのがオシャレとされているので、秋口であれば単衣でも気温に合わせて袷用の羽織を合わせるのもアリです。
単衣着物とは?>>
羽織を着るシーン
通常羽織は、カジュアル着物に合わせるもの。ただし、絵羽模様や紋付の羽織などは格が高くなるので、その場合はフォーマル着物に合わせます。
羽織は女性の正装ではありませんが、江戸小紋などに紋付の羽織を着用すると略礼装になります。 着物姿が当たり前の時代、黒の紋付の羽織はお母さんが子供の入学式によく着用していました。
くるり『着物の基礎知識レッスン【第七回】着物のアウターについて』
ちなみに、羽織はコートではなく洋服で言うカーディガンのようなものなので、必ずしも室内で脱ぐ必要はありません。
ただし、茶室では基本的に脱ぐことがルールとされています。その他の場合でも、状況に応じて対応するようにしましょう。

着こなしのポイント
丈の長さで印象も変わる
昔は膝上丈くらいの短い羽織が主流でしたが、最近は膝丈か膝下の長いものもよく見られます。
短い羽織はややカジュアルに、丈長のものはスッキリとエレガントに見えるので、着ていくシーンやコーディネートによって選んでみましょう。
個性派を狙うなら柄物を、シンプルにまとめるなら無地感覚のものを

柄によって印象も大きく変わります。
無地感覚のシンプルな羽織は、どんな着物にも合わせやすいので、とりあえず1枚持っておくと便利。
一方の柄物は、カジュアル感が強くなりより個性的な装いになります。
羽裏のおしゃれで粋にキメる!
羽織の裏地のことを羽裏(はうら)と言います。
羽裏は、脱いだ時にチラッと見えるだけですが、だからこそ大胆な柄や模様をあしらって、さり気なく粋な装いを演出できるポイント。
そのため、特に男性物を中心に、表はシンプルで羽裏に凝ったデザインが施されているものも多々見られます。
オシャレのアクセントになる羽織紐

羽織の衿を留める羽織紐も、おしゃれを楽しむポイントのひとつ。
羽織紐には主に3つの種類があります。
紐タイプ
もっとも王道な羽織紐。
色やデザインの違いはもちろん、組紐か丸ぐけかによっても雰囲気が変わってきます。
結び方は、帯締めと同方向に結ぶのが一般的です。
金具タイプ
両端の金具(カニカン)を引っ掛けるだけで着脱できるタイプ。
チェーンやビーズなど種類も豊富。
マグネットタイプ
両端の金具(カニカン)を引っ掛けて、真ん中についたマグネットで左右をくっつけて使うタイプ。
デザインも多彩なうえ、手軽に留められるというメリットもあります。
羽織は和装のスタイルをよりブラッシュアップできるファッションアイテム。
ぜひいつもの着物コーデに羽織も加えて、オシャレに磨きをかけてみてはいかがでしょうか?