カーディガンのような感覚で使う和装の防寒具の一つである羽織。色柄が豊富なので、おしゃれアイテムとして楽しむ人も多いアイテムです。
今回はそんな羽織の基礎知識や羽織紐の種類についてご紹介します!
※本ページはプロモーションが含まれています
羽織の歴史

羽織とは、もともとは男性が着用するものでした。けれども、江戸時代に深川芸者が着用し始めたことをきっかけに、女性の間にも広まったと言われています。
その後、一時幕府により女性の羽織が禁じられましたが、明治以降になると女性も自由に着用できるようになりました。
羽織の種類の着用時期

羽織には、裏地がついている袷の羽織、裏地がついていない単衣の羽織、そして透け感のある薄羽織(塵除け)の3種類があります。
袷の羽織は盛夏以外の寒い時季、逆に薄羽織は盛夏を中心とした暑い時季、そして季節の変わり目に単衣の羽織を着用するのが一般的です。
<羽織の着用時期の目安>

羽織を着るシーン
通常羽織は、カジュアル着物に合わせるもの。ただし、絵羽模様や紋付の羽織などは格が高くなるので、その場合はフォーマル着物に合わせます。
羽織は女性の正装ではありませんが、江戸小紋などに紋付の羽織を着用すると略礼装になります。 着物姿が当たり前の時代、黒の紋付の羽織はお母さんが子供の入学式によく着用していました。
くるり『着物の基礎知識レッスン【第七回】着物のアウターについて』
ちなみに、羽織はコートではなく洋服で言うカーディガンのようなものなので、必ずしも室内で脱ぐ必要はありません。
ただし、茶室では基本的に脱ぐことがルールとされているなど例外もあるので、状況にあわせて対応するようにしましょう。

道中着や道行との違いとは?

道中着や道行は、着物コートの一種。衿が着物の衿合わせのようになっているものが道中着、四角く開いているものが道行です。着物のコートにはほかにもたくさんの種類があり、しっかり防寒できるケープタイプのものや洋服のようなデザインのものなどさまざまです。
羽織がカーディガン的役割なのに対し、着物コートは洋服用のコートと同様“防寒着”としての役割を持つものなので、室内では脱ぐのが基本。
また、道中着はカジュアル向け、道行はフォーマル向けといわれることもありますが、色柄や素材によってはどちらとも限りません。上品な雰囲気の道中着であれば礼装に合わせてもOKですし、カジュアルな雰囲気の道行であれば普段着にあわせてもOKです。
羽織の選び方
よりオシャレな装いを目指すなら、「丈の長さ」「色柄」「羽裏」を意識して羽織を選ぶのがポイント。それぞれ詳しく見ていきましょう。
丈の長さで印象チェンジ
昔は膝上丈くらいの短い羽織が主流でしたが、最近は膝丈か膝下の長いものもよく見られます。
短い羽織はややカジュアルに、丈長のものはスッキリとエレガントに見えるので、着ていくシーンやコーディネートによって選んでみましょう。
個性派を狙うなら柄物を、シンプルにまとめるなら無地感覚のものを

柄によって印象も大きく変わります。
無地感覚のシンプルな羽織はどんな着物にも合わせやすいので、とりあえず1枚持っておくと便利。一方の柄物は、カジュアル感が強くなりより個性的な装いになります。
羽裏のおしゃれで粋にキメる!
羽裏(はうら)とは、羽織の裏地のこと。
羽裏は、脱いだ時にチラッと見えるだけですが、だからこそ大胆な色柄を取り入れて、さり気なく粋な装いを演出できる楽しみがあります。
そのため、特に男性物を中心に、表はシンプルで羽裏に凝ったデザインが施されているものが多々見られます。
オシャレのアクセントに。羽織紐の種類
羽織の衿を留める羽織紐も、オシャレを楽しむポイントのひとつ。羽織紐には主に「紐タイプ」「金具タイプ」「マグネットタイプ」の3種類があります。
紐タイプ

もっとも王道な羽織紐。
色やデザインの違いはもちろん、組紐か丸ぐけかによっても雰囲気が変わってきます。結び方は、帯締めと同方向に結ぶのが一般的です。
金具タイプ

両端の金具(カニカン)を引っ掛けるだけで着脱できるタイプ。
チェーンやビーズなど種類も豊富。
マグネットタイプ
両端の金具(カニカン)を引っ掛けて、真ん中についたマグネットで左右をくっつけて使うタイプ。
デザインも多彩なうえ、手軽に留められるというメリットもあります。
羽織代わりになるおすすめのアイテム
羽織を持っていない方や、コーデの脱マンネリをしたい方は、羽織感覚で使えるアイテムを取り入れてみましょう!

最も手軽なのはストール。洋服用でもOKな上、羽織より手ごろな価格で購入できます。途中で暑くなって脱いでも、荷物になりにくい点もメリットです。
和洋兼用で着用できるアウターもおすすめ。洋服用のカーディガンでも、衿や袖回りがゆったりした作りになっているものであれば羽織の代用として使えます。


着物を着る頻度が高くない方や、洋服用としてもフレキシブルに使い回したい方はぜひチェックしてみてください。
羽織は和装スタイルをよりオシャレにブラッシュアップできるファッションアイテム。
この機会にぜひ着物や帯だけでなく、羽織にもこだわってコーディネートを楽しんでみてください!