着物の購入方法としては、主にお仕立てとプレタの2種類があります。初めてカジュアル着物を購入する場合、どちらを選べばよいのでしょうか?
今回は、お仕立てとプレタの違いや選び方、注意点などをまとめました。
お仕立てとプレタの違いとは?
お仕立てとはお誂えとも呼ばれるもので、反物を購入し、自分サイズに仕立ててもらう方法。一方のプレタ(プレタポルテ)はすでに仕立てあがった着物のことで、洋服のような感覚で購入することができます。
お仕立てとプレタのメリット・デメリット
お仕立てとプレタのどちらかを選ぶには、それぞれのメリットとデメリットを知っておく必要があります。以下にまとめたので、さっそくチェックしてみましょう!
メリット | デメリット | |
お仕立て | ・自分サイズに仕立てられる ・八掛の色など自分の好きな仕様にカスタマイズできる | ・値段が高額になりやすい ・仕立て上がりまで時間がかかる |
プレタ | ・値段が手ごろ ・大半が化繊なのでお手入れが簡単 ・購入後すぐ着用できる | ・サイズがあわないことがある ・化繊が多いので、正絹に比べると着心地が劣る |
お仕立ては、サイズはもちろん、裏地や八掛の色なども自分好みに仕立てられるところが魅力。その分値段は高くなり、反物代にプラスして仕立て代が3~5万円ほどかかります。そのほか、衣敷あてをつけたり水通しなどを加える場合は、別途オプション代が必要です。
一方のプレタは、大半がポリエステルなどの化学繊維で作られ、大量生産されているので値段が手ごろ。安いものであれば5,000円前後で購入できます。また、仕立て済みなので買った後すぐに着用できるところもメリットです。サイズ展開は洋服と同様、フリーサイズやS・M・Lなどで売られているので、自分のサイズに合わないと着付けしにくく感じることも。また、静電気が起きやすい・通気性が悪いなど、正絹に比べると着心地が劣る傾向にあります。

初心者にはお仕立てとプレタどっちがいい?
では、初心者が購入する場合、お仕立てとプレタどちらがよいのでしょうか?
結論からいうと、どちらでもOK。着物初心者・ベテラン問わず、それぞれのメリット・デメリットを考慮して、予算や着る頻度、着て行く場所などにあわせて選ぶのがポイントです。

ただし、初心者で「自分に何が似合うかよくわからない…」という方は、まずはプレタがおすすめ。手ごろなプレタで色々な着物を楽しんでいくうちに、次第に自分の好みやこだわりが分かってくるはず。その時にはじめて反物から仕立ててみるという順序でもよいでしょう。
【みんなの声】初めて買った着物はお仕立て?プレタ?リサイクル?
実際、着物好きの方々が初めて買った着物は、お仕立てとプレタどちらなのでしょうか?今回はリサイクルも含めて、アンケートを取ってみました!
着物民のみなさん、最初に買った着物は、プレタ、お仕立て、リサイクル(家族のお下がり含む)のどれでしたか?
— さない ちえ | カジュアル着物ライター (@sanai_w_sanai) October 31, 2024
ちなみに私はプレタでした👘
このアンケートだと、お仕立てに軍配が上がりました!
ただ、半数以上を占めたのがリサイクル。リサイクルは中古ならではのお手頃価格で、高品質な正絹の着物や、今ではなかなか見られないアンティークの着物を手に入れることができます。リサイクル着物については、以下で詳しく解説しています。

着物を買うなら店舗とネットどっちがいい?
着物の購入経路としては、主に店舗とネットがあります。
こちらもそれぞれのメリットとデメリットをまとめました。
メリット | デメリット | |
店舗 | ・実際に商品を見て購入できる ・店員に質問しながら選べる | ・初心者だと入りにくく感じることも ・一部押し売りしてくる店舗がある |
ネット | ・時間や場所問わずいつでも手軽に買える ・店員や時間を気にせずじっくり購入を検討できる ・色々な商品と比較検討できる | ・実物と写真が異なる場合がある ・試着できない |
基本的には店舗でもネットでもどちらでもOK。
ただし、はじめてお仕立てするのであれば店舗の方がおすすめです。マイサイズを測ったり、衣敷あてや水通しの有無など色々なオプションをつけたりする際、店員さんに相談しながら決めたほうが安心でしょう。
また、着物の色柄や雰囲気もネットで見るのと実際に顔に当ててみるのとでは印象が変わることがあるので、注意が必要です。
初心者がカジュアル着物を買うときの注意点
初心者の方が着物を購入するときの注意点をご紹介。以下のポイントをチェックしておけば、トラブルなくスムーズに購入しやすくなるはずです。
お仕立ては合計金額を確認しておく

プレタの着物の場合は商品の値段だけでOKですが、お仕立ての場合は基本的にカスタム形式なので、色々なオプション代がかかります。
<お仕立てにかかる主な料金>
- 反物代
- 仕立て代
- 湯のし代
- 胴裏代
- 八掛代
- ガード加工代
- 衣敷あて代
- 背伏せ代 など
どこまでつけるかは着物の種類や素材、好みによって異なりますが、どんなオプションが必要で、どのくらいの金額になるのかはしっかり把握した上で購入を決めるようにしましょう。
押し売りに注意する

店頭で購入する場合、一部呉服店では押し売りをしてくるところがあります。例えば、プレタを購入したいにもかかわらず、高額な反物をすすめてきて長時間捕まってしまうなんてことも。
もちろん欲しくないものを無理に買う必要はありません。無理強いされても毅然とした態度で断るようにしましょう。
サイズを確認しておく

お仕立てでもプレタでも、マイサイズはあらかじめ確認しておくようにしましょう。お仕立てのときは必ず自分のサイズを伝える必要がありますが、プレタの場合でもマイサイズを知っておくことでサイズ選びで失敗するリスクを避けられます。
マイサイズを自分で調べる場合、必ず測っておきたいのが着丈・裄・ヒップです。
目的 | 測り方 | |
着丈(身丈) | 着物の長さを決める | 一般的に、女性は着丈=身長 ※男性の場合はおはしょりがないので身長-30cm |
裄 | 着物の袖の長さを決める | 首の付け根から手首まで |
ヒップ | 着物の身幅を決める | 前幅=ヒップ÷4+1cm 後幅=ヒップ÷4+6cm |
着丈は女性の場合は身長でOK。裄は腕の高さを45°にした状態で、後ろの首の真ん中あたりから肩まで、肩から手首の骨の部分までの合計の長さを測ります。ヒップは、一番出っ張っているところを測りましょう。
もし手元に自分にぴったりのサイズの着物がある場合は、その着物の寸法を測る形でマイサイズを調べてもOKです。
ただし、初心者の方が自分一人で測るのは難しいので、最初は呉服屋さんなどで測ってもらうことをおすすめします。
TPOを踏まえて選ぶ

着物を選ぶ際、着て行く場所や季節などを考慮するのもポイントのひとつ。例えば、ちょっとしたパーティーにも着て行きたいならキレイめな小紋、普段使いなら紬など、カジュアルシーンでも用途によって選ぶ着物の種類が多少異なります。
また、季節によっても、選ぶ色柄や仕立て(袷・単衣など)が変わってくるので、具体的な希望がある場合はそれを踏まえた上で選ぶとよいでしょう。
おすすめのカジュアル着物ショップ5選
最後に、おすすめのカジュアル着物店をご紹介します。気になったお店はぜひ公式サイトもチェックしてみてください!
KIMONO BY NADESHIKO
大手呉服チェーン店「やまと」が運営する着物ブランド。手ごろなプレタから有名産地の染織品まで幅広く用意しており、色柄もクラシカルなものから個性的なものまで多種多様にそろっています。
実店舗は2025年2月現在ではFlagship shopである東京・原宿店のみですが、オンラインショップでも購入可能です。
大塚呉服店
“きものが着たくなる呉服店”をコンセプトに掲げ、着物・浴衣・羽織・帯・和装小物などを販売している京都の呉服店。普段使いしやすいアイテムを多く展開しており、カジュアルシーンでの着物の楽しみ方の幅を広げてくれるお店です。東京でも年に数回ポップアップショップを出店しています。
KIMONO MODERN
ワンピース感覚で着物を楽しんでほしいという想いから、木綿着物を中心としたカジュアル着物や小物類が豊富にそろえている着物ショップ。洗練感のあるオシャレなデザインでありながら、手に取りやすい価格帯で初心者の方でも気軽に購入できる点が魅力。オンラインショップがメインですが、福岡・東京・名古屋に実店舗があり、各地のイベントにも積極的に出店しています。
ふりふ
呉服専門店「三松」が、ファッションと着物の出会いを楽しむことをモットーに展開しているブランド。「夜空猫」をはじめとする、遊び心あふれるモダンなオリジナルテキスタイルが魅力で、多くの着物ファンから支持を集めています。着物だけでなく、和をモチーフにした洋服を取り扱っている点も特長。和洋の境のないシームレスな“ふりふワールド”をこの機会にぜひ楽しんでみては?
ふりふ公式サイト>>京都きもの町
ネットショップをメインに運営する、京都の着物店。化繊や木綿の着物を中心に、初心者の方でも手に取りやすいリーズナブルなアイテムを豊富にラインナップしています。お得に一式購入できる着物や帯などのセットが常時販売されている点も魅力。カジュアル着物のほか、卒業袴セットや訪問着、七五三セット、産着、男着物など幅広く取り扱っています。
京都きもの町公式サイト>>お仕立てとプレタで選べるのも着物の特権!
お仕立てとプレタにはそれぞれにメリットがあるので、自分にあったものを選ぶのが大前提です。最初は慣れない購入方法に困惑しますが、購入方法をお仕立てとプレタで選べるのも着物ならでは。手軽に買えるのはプレタですが、今の洋服ではあまり見られないお仕立てという購入方法を体験するのも新鮮でしょう。
ぜひ今回の内容を参考にしつつ、自分らしく着物ライフを楽しめる1枚を手に入れてください!