小紋と紬の違いとは?着ていけるシーンやあわせる帯も解説

小紋、紬、違い、着物、着付け 着物の基礎知識

カジュアル着物の代表格である小紋と紬。同じ普段着向けではあるものの、この2つの着物には具体的にどのような違いがあるのでしょうか?

今回は、それぞれの特長や格、着ていけるシーン、季節、コーディネート例などをまとめ、改めて小紋と紬の違いについて解説していきます。

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小紋とは

小紋は、着物全体に同じ模様が同じ方向に繰り返し描かれている着物のこと。一面に柄のある総柄と、小さな柄が散らばって描かれている飛び柄があり、振袖や訪問着などの礼装のように上下の柄の向きや身頃の柄合わせがない点も特長です。生地は正絹が一般的ですが、一部ポリエステルのものも見られます。

小紋にはさまざまな種類がありますが、代表的なのが江戸小紋・京小紋・加賀小紋の3つです。

江戸小紋遠目から見ると無地に見えるほど繊細な模様で仕上げられた型染めの小紋
京小紋型染と京友禅の技術を組み合わせて表現された華やかな柄行の小紋
加賀小紋手描き友禅と型友禅の2種類の技法があり、加賀友禅の色使いを取り入れた柔らかく上品な印象の小紋

このほか、更紗紅型(びんがた)絞りなどの技法を使って染められた小紋もあります。

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紬とは

紬、着物、春コーデ、袷、淡色

紬は、紬糸で織られた絹織物のこと。小紋よりしなやかでふっくらとした生地感が特長。華やかすぎない素朴な風合いのため、洋服感覚で楽しむことができます。

全国各地にそれぞれの地域の風土を活かした多種多様な紬があり、ものによって技法や柄、質感などが異なります。

<紬の主な産地>

  • 米沢紬(山形県)
  • 結城紬(茨城県)
  • 黄八丈(東京都)
  • 牛首紬(石川県)
  • 塩沢紬(新潟県)
  • 郡上紬(岐阜県)
  • 大島紬(鹿児島県)
  • 久米島紬(沖縄県)
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“先染め”と“後染め”の違い

着物には、“先染め”の着物と“後染め”の着物があります。

先染めの着物は、あらかじめ染められた糸を使い、織りによって柄を表現した着物のことで、紬や木綿の着物がこれに当てはまります。一方の後染めの着物は、白糸で織り上げた反物に、それぞれの技法で色や柄をつけたもの。小紋や訪問着、振袖、留袖などがあり、一般的に先染めよりも後染めの方が格が高い着物とされています。

先染めの着物後染めの着物
・紬
・木綿
・銘仙
・麻の着物
・留袖
・振袖
・訪問着
・付け下げ
・色無地
・小紋

小紋と紬の格と着ていけるシーン

着物、格、カジュアル、普段着

小紋も紬も基本的にはカジュアル向け。ただし、小紋の方が紬より格が高く、色柄によっては少しかしこまったシーンにも着て行くことができます。中でも江戸小紋は別格で、武士の裃(武士の礼装)を由来とする“三役”と呼ばれる柄であれば、紋をつけることで準礼装として着用可能です。

江戸小紋の三役とは??>>

小紋や紬にあわせる帯

兵児帯、名古屋帯、着物、カジュアル着物、普段着
左:兵児帯/右:名古屋帯

小紋や紬はカジュアル向けの着物なので、基本的に帯もカジュアル向けのものを選びます。

<カジュアル向けの帯>

  • 名古屋帯
  • 京袋帯
  • 洒落袋帯
  • 半幅帯
  • 兵児帯

カジュアルシーンなので基本的に組み合わせはお好みでOK。上品な印象の小紋には同じ“染め”で柄を表現した塩瀬の名古屋帯を、ナチュラルな風合いの結城紬には紬地の名古屋帯をあわせるなど、着物の雰囲気や着て行くシーン、季節などによって上手く使い分けてみましょう。

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小紋や紬を着る季節

着物の仕立て方には袷と単衣、夏着物(薄物)の3種類があります。秋~春にかけて着用する裏地がついているものが袷、初夏や初秋に着用する裏地がついていないものが単衣です。そして、透け感のある生地を使用した夏向けのものを、夏着物(薄物)と呼び、小紋は夏小紋、紬は紗紬や夏紬などと呼ばれます。

【季節別】カジュアル着物のコーディネート例

ここからは、小紋や紬のコーディネートをご紹介します。それぞれ季節ごとにセレクトしたので、ぜひ参考にしてみてください。

小紋のコーディネート

▼春:小紋(袷)×兵児帯
淡いパステルブルーの小紋に、明るいレモンイエローの兵児帯をあわせてさわやかに。

▼初夏:小紋(単衣)×半幅帯
古典的な柄のペールトーンの着物に木綿の半幅帯をあわせて程よくカジュアルダウン。帯周りにはクリアなガラス風の帯留めをオンして抜け感をプラス。

▼紗の小紋×名古屋帯
地味になりがちな渋めグレーの小紋には、ピンクの名古屋帯で甘さを添えて。

▼秋:小紋(袷)×名古屋帯
シックな雰囲気漂うくすみピンク。グラフィカルなバラが施されたレトロなデザインで、クラシカルムード漂う秋の装いに。

▼冬:小紋(袷)×名古屋帯
新年の着物。おめでたい柄…というわけではありませんが、新年最初の着物なので華やかな柄をセレクト。

紬のコーディネート

▼春:紬(袷)×名古屋帯
3月のコーデ。ほっこりした久米島紬で冬の余韻を残しつつ、小物は明るいスプリングイエローを差し色にしてさり気なく春らしさを。

▼初夏:紬(単衣)×半幅帯
春から夏に移ろう時期のコーディネート。すでに汗ばむ日も多いので、全体的に淡い色でまとめて春の温かみを残しつつ、麻混の半幅帯で涼しさにも配慮。

▼夏:紗紬×半幅帯
今ではあまり見られないレトロな柄のアンティーク着物。ブルーをベースに白で抜け感を出した涼やかなコーディネートに。

▼秋:紬(袷)×半幅帯
紬は洋服の素材となじみが良いので、和洋ミックスな着こなしにも最適。襦袢代わりにハイネックのワンピースを着れば、着付け時間短縮&防寒対策にもなります。

▼冬:紬(袷)×名古屋帯
モダンな雰囲気の赤い大島紬には、さり気なく緑の小物をあわせてクリスマスを意識。

小紋や紬のお手入れ方法

絹は水や湿気に弱い素材。そのため、小紋も紬も基本的に自宅で洗濯することはできません。着るたびに洗う必要はありませんが、しばらく着ないときや汚れが気になるときは専門のクリーニング業者に依頼するようにしましょう。

<おすすめの着物クリーニング業者>
きもの工房なぎさ
kimono5298
きもの京小町

一方、正絹ではなくポリエステル素材の小紋は、自宅の洗濯機で洗ってOK。生地の傷み防止のために、ネットに入れた上で、オシャレ着洗い用の中性洗剤を使ってドライコースで洗うのがおすすめです。洗った後は着物ハンガーにかけて陰干しして乾かしましょう。

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小紋や紬を購入できる場所

小紋や紬は、主に以下の場所で購入できます。好みや予算、着て行くシーンにあわせて買いに行く場所も検討してみてください。

呉服店

\こんな方におすすめ/
・マイサイズの着物を誂えたい方
・品質のよさにこだわりたい方

着物の購入場所の王道といえば、呉服店。反物からマイサイズに誂えるのが基本ですが、店舗によってはプレタの着物の購入も可能です。着付け小物や和装小物もあわせて買えるほか、クリーニングも受け付けている店舗もあります。

着物の知識やお手入れ方法、コーディネートのコツなど、スタッフの方からアドバイスをもらいながら購入できますが、中には押し売りをしてくる店舗もあるため、初心者の方には少しハードルが高いかもしれません。

アンティーク&リサイクル着物店

\こんな方におすすめ/
・プチプラで着物を購入したい方
・珍しい色柄の着物が欲しい方

リサイクルやアンティーク着物店は、その名の通り中古の着物を中心に扱っている着物店。店によって品ぞろえは異なりますが、100年前の古い着物から現代ものの着物まで幅広く取り扱っており、他では見られない一点ものの着物を格安で購入できます。

ただし、ほとんどが新品ではなくサイズもまちまちなので、汚れや破損があったりサイズがあわなかったりする場合があるので注意が必要です。

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骨董市や着物市

\こんな方におすすめ/
・プチプラで着物を購入したい方
・珍しい色柄の着物が欲しい方
・路面店は敷居が高く感じる初心者の方

アンティークやリサイクル着物店と同様、古い着物が販売されている骨董市や着物市。よい出会いがあれば、珍しい色柄の着物や高級なブランド産地の着物を手ごろな価格で購入できることもあります。

また、大きな会場などを貸し切って開催されるオープンなイベントなので、「着物店には入りにくい…」と感じている方でも気負わず出かけやすい点も魅力です。

フリマアプリ

\こんな方におすすめ/
・安く着物を購入したい方
・近くに着物店がない方

スマホ一つで簡単に売買ができるフリマアプリ。着物も、新品から中古品まで幅広く取引されています。すべてリモートでやり取りが完了するため、近くに着物店がないという方にもおすすめです。

思わぬ掘り出し物と出会える可能性がある一方、現物を見て購入できるわけではないので、届いたものがイメージと違うことも。また、基本的に素人による検品になることから、事前に知らされていないダメージが見つかるというケースも見られるため、着物初心者の方やオンラインの取引に慣れていない方は注意が必要です。


普段着として幅広く活躍してくれる小紋と紬。どちらも違った魅力を持つ着物なので、着て行く場所や好みに合わせて上手く使い分けてみましょう!

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