着物は季節ごとに異なる種類があり、その時期に応じた快適な着こなしが楽しめます。季節によって仕立て方が変わるだけでなく、素材や色柄選びにも工夫が必要。けれども、初心者の方だとどのように使い分ければよいか迷ってしまうことも。
そこで今回は、そんな季節ごとの着物の種類と使い分け方・選び方をご紹介します。
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【季節別】着物の種類と着用時期
着物を種類分けする場合、主に格か季節によって区別されます。格は留袖や訪問着、小紋などの着物のジャンルの違い、季節は仕立て方の違い。今回は季節にフォーカスするため、後者の仕立て方について説明していきます。

着物の仕立て方は袷(あわせ)・単衣(ひとえ)・夏着物の3種類。
秋から春にかけて活躍するのが裏地のある袷、6月や9月など季節の変わり目には裏地なしの単衣を選ぶのが基本です。
真夏の7月〜8月は、透け感のある絽や紗(薄物 / うすもの)、または麻素材の夏着物を着用。綿紅梅や阿波しじらなど、着物としても浴衣としても着られるアイテムもあり、自宅で洗えるため気軽に楽しみたいときにぴったりです。

このように着物カレンダーによるルールはあるものの、最近では気候の変化で単衣や夏着物、浴衣を着る時期が長くなっており、3月や4月に単衣を着たり、初夏や秋に浴衣を着物風に着用したりすることも。フォーマルな場では伝統的な季節感を守るのが無難ですが、カジュアルシーンでは着て行く場所を考慮しつつ、気温にあわせて無理なく快適に過ごせるものを選んでも問題ありません。
迷う場合は、以下の気温を目安に着物を選んでみてください。
- 20℃以下…袷
- 20〜28℃…単衣
- 28℃以上…夏着物
ロングシーズン着れる着物を有効活用
袷の時期と単衣の時期、夏着物の時期をまたいで着用できる、ロングシーズン使い回せる着物も1枚持っておくと便利。
定番なのが単衣の着物。基本は6月と9月に着るものですが、素材によってはより長い期間活躍してくれます。例えば木綿やウールの着物は基本的に単衣仕立てのみですが、生地に厚みがあってしっかりしているため、袷の時期に着用できるものも多くあります。シーンはカジュアルに限られますが、袷か単衣か迷う気温の日におすすめです。

また、夏向けのセオアルファの着物も押さえておきたいアイテム。これは東レが開発した機能性素材で、吸水性と速乾性にすぐれている点が特長。浴衣や夏着物としてはもちろん、色柄によっては単衣の季節にも違和感なく使うことができます。

さらに、胴抜き仕立ての着物も便利なアイテム。こちらは、胴の部分に裏地がなく、裾まわりだけに裏がついた仕立て方で、外から見ると袷に見えるのがポイント。見た目と着心地のバランスが取れるので、「単衣の時期には早いけれど、袷はちょっと暑い…」という時期にぴったりです。
羽織やコート、ショールで寒さ対策
季節にあわせた着物選びに加え、気温にあわせて羽織やコートなどのアウターや、ショールなどを取り入れると、より快適に過ごせます。
主に以下のような種類があるので、季節やシーンにあわせて選んでみましょう!
種類 | シーン | 季節 |
羽織 | カジュアル | 秋~春 |
和装コート (道行・道中着) | フォーマル~カジュアル | 秋~春 |
塵除けコート・薄羽織 | フォーマル~カジュアル | 初夏~盛夏 |
雨コート | 雨天時 | 通年 |
防寒用コート | フォーマル~カジュアル | 冬 |
ストール・ショール | フォーマル~カジュアル | 通年* |

季節ごとにおすすめの着物の色柄とは?
季節にあわせた色柄選びは着物の醍醐味のひとつ。四季の移ろいに寄り添った色やモチーフを取り入れることで、より洗練された着こなしが叶います。ルールはありますが、あまり堅苦しく考えすぎず、イベントや気分にあわせて自由に楽しむのが最近のトレンドです。
ここでは、季節ごとにおすすめカラーや柄についてご紹介します。
季節にあわせた色の使い分け方

より装いに季節感を出すなら、その時季の気候や自然の景色をイメージしながら色を選んでみましょう。
例えば、春には淡いピンクやグリーンなどのパステルカラー、夏は日差しに映えるビビッドカラーや、清涼感のあるシャーベットカラーがおすすめです。
秋は深みのあるアースカラーがぴったり。赤や茶、からし色など紅葉を思わせる色もよいでしょう。冬は、落ち着きのある濃い色合いや、雪をイメージした白やシルバー、グレーなどがよく似合います。
また、季節のイベントにあわせて色を選ぶ方法も。お花見なら桜を思わせるピンク色、ハロウィンならオレンジや紫、クリスマスなら赤や緑など、行事に寄り添ったカラーを選ぶことで、よりトレンド感のある装いに仕上がります。

季節にあわせた柄の使い分け方
季節ごとにおすすめの柄を以下にまとめました。
季節 | おすすめの柄 |
春 | 桜・桃・牡丹・菖蒲・蝶など |
夏 | 紫陽花・朝顔・竹・笹・流水模様など |
秋 | 紅葉・萩・桔梗・撫子・月など |
冬 | 椿・南天・雪輪模様・枯山水など |
着物の柄は「季節を少し先取りする」のがオシャレとされており、草花など季節のモチーフを取り入れる場合は、そのモチーフが旬になる1~1.5か月前に着用するのがよいとされています。
ある程度季節が決まっている柄がある一方、一年を通して使いやすい柄もあります。例えば、抽象的な模様や縞や格子などの幾何学柄、複数の季節の花が組み合わされたデザインなどは季節を限定せず楽しめます。吉祥文様と呼ばれる、鶴・亀・松竹梅などの縁起がよいとされる柄も季節を問わず使用可能です。
また、無地の着物も帯や小物で印象を変えられるため、着回し力抜群。シーンや季節を問わず活用できるので、一枚持っておくと重宝します。
着物以外のアイテムの種類も季節によって変わる?
着物だけでなく、それ以外のアイテムの種類も季節によって選び方が変わってきます。帯や帯揚げ、半衿、長襦袢など、細やかな部分にも四季を感じさせる工夫を施せるのが、着物のオシャレの奥深さ。
具体的にどのように使い分ければよいのか、一つずつ見ていきましょう!
帯の種類

帯の種類には、一年中使えるものもありますが、生地感によって締める季節が限定されるものがあります。例えば、絽や紗といった透け感のある涼し気な帯は夏、ふっくらとした温かみのある縮緬地の帯などは冬が好まれます。
また、着物と同じように季節を感じさせる花や自然のモチーフが描かれた帯は、その時季に締めるのがベスト。一方で、特定の季節を示さない幾何学模様や抽象柄の帯などは通年使用OKです。
帯締め・帯揚げの種類

帯締めや帯揚げは基本的には季節を問わず使えますが、暑い時季は透け感のある夏向けのものがおすすめ。夏着物や夏帯の風合いともなじみやすく、コーディネートが軽やかにまとまります。
また、同じ着物でも帯締めや帯揚げなどの小物の色を変えるだけで印象がガラリと変化するので、色選びも重要。帯揚げの場合は、春には桜や梅、秋にはすすきや紅葉など、季節にちなんだモチーフがデザインされたものもあるので、さり気なく季節感を出したい方は着物や帯ではなく小物でトレンドを取り入れるのもよいでしょう。
半衿の種類

半衿は顔周りの印象を決める重要なアイテム。留袖や訪問着は白が基本ですが、振袖には刺繍入りの半衿で華やかさを出したり、カジュアル向けの着物には色柄半衿で個性を出してみたりと、幅広いオシャレが楽しめます。
正絹や木綿、ポリエステルなど様々な素材があり、夏には絽や紗といった透け感のある半衿が活躍。色柄も豊富なので、季節やコーディネートにあわせて選んでみましょう。

長襦袢の種類

汗や汚れから着物を守ったり裾さばきをよくしたりするほか、体温調節の役割も担ってくれる長襦袢。季節にあわせて素材や仕立ての種類を変えることで、快適さが格段に変わります。
春・秋・冬は裏地がついた袷の長襦袢が基本。素材は正絹やポリエステルが主流です。6月や9月など単衣の着物を着る時期は、裏地なしの単衣仕立ての長襦袢、もしくは袖口など見える部分だけに裏をつけた半無双袖タイプを、盛夏には、絽や紗、麻などの薄くて通気性のよい素材で仕立てた夏用の長襦袢を使用します。
ただし、春や秋の気温が高い日は、袷の下に単衣の長襦袢をあわせたり、単衣に夏向けの麻の長襦袢をあわせたりしてもOK。基本のルールを意識しながらも、気温にあわせて臨機応変に使い分けてみましょう。

季節にあわせた着物を選んで快適にオシャレを楽しんで
着物にはいろんな種類やルールがあって難しいように感じるかもしれませんが、考え方は洋服と同じ部分も多くあります。
「着て行く場所のドレスコードにあわせる」
「春物・夏物・秋物・冬物を使い分ける」
「その季節らしい色柄を取り入れる」
といったポイントさえ押さえておけば大丈夫。特にカジュアルシーンであれば、洋服と同じように自由なオシャレを楽しんでOKです。ぜひ季節を感じる着物ならではのトレンドコーデを満喫してみてください!