着物と振袖の違いとは?振袖の種類や着ていけるシーン、選び方のコツもご紹介

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成人式などでおなじみの振袖。袖が長く、おめでたい日に着るもの、というイメージがある方が多いと思いますが、ほかの着物とどのような違いがあるのかご存じでしょうか?今回は、振袖と着物の違いや、振袖の種類、着て行けるシーンなど、振袖の基本についてまとめました。

「振袖は購入とレンタル、どっちがいい?」「色柄はどうやって選べばいい?」など、成人式などに着て行く振袖を探しているという方にも参考になる情報をまとめたので、ぜひ最後までチェックを!

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着物と振袖の違いは?

礼装 振袖 留袖 訪問着 違い 着物 和装

着物とは、和装全般を指す言葉。着物には留袖や訪問着、小紋などさまざまな種類があり、振袖もそのひとつです。

振袖とほかの着物とのもっとも大きな違いは袖丈。現代の一般的な着物の袖丈は約49cm(1尺3寸)ですが、振袖は85cm~120cmと、倍程度の長さがあります。

また、広げると一枚の絵のように見える絵羽模様も振袖の特徴のひとつ。豪華で華やかな印象が感じられ、同じ礼装の留袖や訪問着も絵羽模様が基本です。ただし、留袖は裾部分のみに柄が描かれている裾絵羽模様になっており、訪問着は上半身にも模様はあるものの、振袖よりはあっさりとした柄行になっています。

振袖には3つの種類がある

振袖は袖丈の長さによって大振袖・中振袖・小振袖の3種類に分けられます。

大振袖

花嫁 結婚式 衣装 大振袖

大振袖本振袖とも呼ばれており、もっとも格式が高い振袖です。袖の長さは約3尺(約114cm)もあり、足のくるぶしより少し上にくるほど。豪華で華やかな印象になるため、主に花嫁衣装として着用されています。

中振袖

振袖 和装 着物 成人式

成人式でよく目にする振袖は、この中振袖が一般的。袖の長さはおよそ100cmで、大振袖よりは控えめな印象ですが、程よく華やかさとエレガントさを兼ね備えており、結婚式に参列するときや、フォーマルなパーティーへのお呼ばれなどにも着用できます。

小振袖

小振袖、卒業式 袴 和装 着物

振袖の中でもっとも袖丈が短いのが、小振袖。袖丈が2尺(約85cm)ほどなので、二尺袖とも呼ばれています。卒業式の袴にあわせて着用されることが多く、振りが長すぎないので動きやすい点がメリットです。そのほか、ややカジュアルなパーティーやお茶会などに参加するときにも活躍します。

振袖の格と着て行けるシーン

着物の格

着物はものによって格と呼ばれる違いがあり、着て行けるシーンも変わってきます。
振袖は未婚女性の第一礼装であるため、フォーマルシーンで着用するのが基本。華やかな振袖は成人式や結婚式、卒業式などのおめでたい場にぴったりです。

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振袖の素材

振袖の素材は主に正絹ポリエステルの2種類。どちらもその素材ならではのよさがあるので、着心地や好みで選んでみましょう。

正絹

メリットデメリット
・柔らかな肌当たりで着心地がよい
・吸湿性・通気性・保温性に優れている
・体にフィットしやすく、着崩れしにくい
・高級感がある
・金額が高い
・お手入れや保管の手間がかかる

シルク100%で作られた正絹の振袖は、肌に吸いつくような上質な質感と、夏は蒸れにくく冬は温かいという抜群の着心地が魅力です。正絹ならではの上品な光沢もすばらしく、高級感のある着姿が叶います。

その分、正絹の振袖はポリエステルよりも高額。その上、非常にデリケートな素材なので扱いが難しい素材でもあります。水に弱いため自宅での洗濯は不可で、必ず専門のクリーニング店に依頼し、保管も湿気が溜まりにくい場所で放湿性にすぐれた桐箪笥などに収納しなくてはなりません。

また、日光や蛍光灯の光が直接当たる場所に長時間置き続けると変色の原因になるため、注意が必要です。

ポリエステル

メリットデメリット
・正絹に比べて価格が安い
・お手入れや保管がしやすい
・ものによっては安っぽく見えることがある
・正絹に比べると吸湿性や通気性が劣るものが多い
・静電気が起こりやすい
・すべりやすいため着崩れしやすい場合がある

ポリエステルをはじめとする化学繊維の振袖は、長年正絹より質がよくないといわれてきました。しかし、近年は製造技術の進化により、着心地や風合い、デザインにすぐれたものが増えてきており、正絹とはまた違った魅力を持つ素材として定着しつつあります。

価格も正絹より手ごろな上、お手入れもしやすいので、着物を着慣れていない人でも気負わず手に取りやすいところがメリット。正絹より耐久性にすぐれていてシワにもなりにくく、中には洗濯機で洗えるものもあります。

保管も一般的な洋服と同じでプラスチックケースなどに入れて保管してもOK。ただし、ハンガーにつるした状態だと、型崩れの原因になるため、しまうときは正絹の着物と同じようにキレイにたたんで収納したほうがよいでしょう。

一方で、ポリエステルならではの特性から、静電気が起こりやすい、すべりやすくて着崩れしやすい、蒸れやすいなどのデメリットも見られます。

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振袖の着付けに必要なもの

振袖を着る場合、着物のほかに何を用意しておけばよいのでしょうか。振袖を着る時に必要なものをまとめたので、ぜひチェックしてみてください。

振袖にあわせる帯

振袖 帯結び 袋帯 

着物と同様、帯にもいくつか種類があり、ものによって格が異なります。振袖にあわせる帯は、フォーマル向けの袋帯。振袖ならではの結び方が豊富にあるので、振袖の雰囲気にあわせてアレンジすると、より華やかさが際立ちます。

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振袖の下着は何を着る?

長襦袢 半衿 

振袖の下は他の着物と同様、裾除け→肌襦袢→長襦袢の順で下着を着用します。裾除けと肌襦袢は、一体化した和装スリップで代用してもOKです。

長襦袢は着物と同じ形をしていますが、おはしょりは作らず対丈で着用。振袖はほかの着物より袖丈が長いため、振袖用の長襦袢を使用します。

また、長襦袢の衿に入れる衿芯も忘れずに。衿の形をキレイに整えるもので、主にプラスチック製のものが使われます。

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振袖に必要な着付け道具

着付け道具 腰紐 帯枕 帯板 コーリンベルト

着付け道具は、着付けの仕方によって必要なものが異なりますが、必ず使用するのが腰紐。おはしょりを作ったり、帯結びの仮紐として使ったりするもので、3~4本は用意しておくと安心です。

そのほか、補整用のタオルや衿合わせを固定する伊達締め、帯結びに使用する三重仮紐や帯枕、帯前にシワが寄らないようにする帯板などが使われます。

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振袖にあわせる和装小物

着物コーデを華やかに彩る名脇役・和装小物は、振袖においても重要なアイテム。主に以下のようなアイテムが必要になります。振袖や帯にあわせた色柄のものを選んで取り入れてみましょう。

伊達衿重ね衿とも呼ばれるもので、着物の衿の下に重ねて華やかさを演出するもの。
半衿長襦袢の衿に縫いつけて使用するもの。礼装は白が定番ですが、振袖は華やかなものが好まれるので、刺繍や模様が入ったものでもOK。
帯締め・帯揚げ帯揚げは主に帯枕を隠すために、帯締めは帯結びを固定するために使用するもの。色やデザインが豊富なので、コーディネートのアクセントにも。
足袋草履を履くときのマストアイテム。礼装は白が基本。
草履・バッグ礼装の草履はかかとが高いものを選ぶのが基本で、だいたい5cm程度が一般的。振袖の場合、バッグとセットで売られていることが多いため、セットでそろえれば統一感のあるコーデに。

振袖はどこで買える?

振袖を購入する場所としては、主に呉服店、ネットショップ、リサイクル着物店の3つが挙げられます。それぞれの特長をご紹介するので、自分にあった購入場所を選んでみてください。

呉服店

もっとも定番の購入場所は呉服店。反物からのお仕立て、もしくは仕立て済みのプレタで購入します。

着物のプロが接客してくれるので、着物の知識が十分にない方でもしっかりサポートしてもらえるのがメリット。振袖だけでなく、帯や小物なども含めトータルコーディネートの相談もできます。

呉服店といっても色々なブランドがあり、伝統的なデザインをメインに扱っているところから、トレンド感のあるモダンなデザインが多いところまでさまざま。価格帯なども考慮しつつ、自分好みの振袖が手に入りそうなブランドや店舗を選んでみましょう。

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ネットショップ

振袖はネットショップでも購入可能。オンラインメインで運営しているところと、実店舗も持つ呉服店が運営しているところの2種類があり、いつでもどこからでも手軽に振袖を購入することができます。また、店舗やブランド問わず複数の振袖を一緒に比較検討でき、じっくり選べるところもメリット。

ただし、実物を見ることができないので、実際の生地感や色味などがわかりにくい点が難点。マイサイズがわからない方は、サイズ選びにも注意が必要です。

実物を見れる場合はなるべく実物を見て確認・試着し、難しい場合は事前に不明点を問い合わせるなどして、理想に適った1着を選んでみてください。

リサイクル着物店

リサイクル着物店は、仕立て済みの振袖をリーズナブルに購入できるところがメリット。現代物から、戦前に作られたアンティーク着物まであるので、ほかではあまり見られない色柄のものを手に入れることも可能です。

一方で、中古品になるためシワや汚れなどのダメージがあることも。また、自分用のサイズに仕立てられているわけではないので、裄や身丈などの寸法があわない可能性があります。事前に生地の状態やサイズ感を確認した上で購入するようにしましょう。

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振袖はレンタルと購入、どっちがいい?

レンタルと購入、それぞれにメリットとデメリットがあります。比較検討して、自分にあった方を選んでみてください。

メリットデメリット
レンタル・価格がリーズナブル
・お手入れや保管の手間がかからない
・帯や小物もセットでレンタルできることがほとんど
・自分にあったサイズが見つからないことがある
・何度も着用したい場合は割高になる
・人気のデザインは予約が取りづらいことがある
購入・マイサイズで仕立てられる
・何度も着用したい場合はお得
・新品を着用できる
・一式そろえる場合費用が高額になる
・お手入れや保管の手間がかかる

振袖を選ぶコツ

振袖は色柄のバリエーションが豊富なため、どれを選べばいいか迷ってしまうことも。基本的には自分の好きなものを直感的に選んでOKですが、迷ってしまう場合は以下の2つを目安にしつつ選んでみてください。

身長で選ぶ

振袖 身長 選び方 色柄 着物 和装

高身長・低身長の方は、色柄の選び方でよりスタイルアップを目指すことができます。

高身長の方は、大きめで存在感のある柄行のものや、濃い色でコントラストのきいたメリハリのあるデザインのものがおすすめ。高い身長を活かしながら、より華やかな装いを演出することができます。

逆に低身長の方は、余白を感じさせるデザインの振袖がおすすめ。小さめの柄や淡い色のものを選ぶと、すらりとした印象に。帯も同系色でまとめたり、衿元を華やかにして視線を上に持ってくるのもよいでしょう。

パーソナルカラーで選ぶ

パーソナルカラー 着物 コーディネート イエベ ブルべ

色選びに迷うときは、パーソナルカラーを参考にするのも方法のひとつ。パーソナルカラーとは、髪や肌、瞳の色などから、自分に似合うカラーを導き出すというもの。イエローベース(イエベ)ブルべ(ブルーベース)の2種類があり、そこからさらに春夏秋冬の4シーズンで分類されます。

パーソナルカラーは、呉服店などで診断しているところがありますが、簡易的なものであればWEBで診断することも可能です。

【WEBですぐにできるおすすめの簡易診断】
きものやまと パーソナルカラー診断
着物姫パーソナルカラー診断

パーソナルカラーを知ることで、自分に似合う色がわかり、振袖だけでなく、洋服やメイクの色選びのヒントにもなります。ただし、自分のパーソナルカラー以外のものが似合わないというわけではありません。苦手な色でも、半衿などで顔周りに似合う色を持って来ればキレイになじむことも。

まずは自分の得意な色・不得意な色をチェックして、自分に似合う振袖を選んでみましょう。


振袖は、ハレの場に着用する縁起のよい着物。成人式や結婚式、卒業式など、人生の節目となる機会に着ることが多いのでこだわって選びたいもの。

ぜひ今回ご紹介した内容をもとに自分にぴったりの振袖を見つけて、特別な日をより思い出に残る1日にしましょう!

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