着物は洋服以上に四季の移ろいを投影できる衣服。素材・色・柄によって季節感をオシャレに演出できるのが醍醐味である反面、細かいルールもあるため初心者には「わかりにくい」「難しい」と感じることも。
そこで今回は秋にフォーカスを当て、この時期に着れる着物や帯、おすすめの色柄、コーディネートのコツなどをご紹介します。
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秋に着る着物は単衣?袷?
従来の着物カレンダーでは、9月は単衣、10月以降は袷を着用します。けれども、近年は夏並みの気温の日が長くなっており、9月でも30℃を超える日が少なくありません。そのため、特にカジュアルシーンでは9月でも夏着物や浴衣を着る人が多く、それに伴い9月後半~10月頃に単衣、10月後半~11月以降に袷という形で衣替えのタイミングがずれ込んでいる様子も見られます。
カジュアルシーンであれば、基本的に気温にあわせて快適に着用できるものを選んでOK。ただし、立てるべき相手がいるフォーマル・セミフォーマルの場では着物カレンダーにのっとった方が無難。時季にあっていない着物だと悪目立ちしてしまう場合があるので、注意しましょう。
秋の着物におすすめの帯とは?
帯は着物にあわせて選ぶようにしましょう。残暑厳しい9月上旬で、絽や麻など夏着物を着る場合は夏向けの帯をあわせます。ただし、羅など透け感が強いものや夏らしいデザインのものではなく、素材や色合いは秋を意識したものを選ぶのがポイントです。
暑さが落ち着いてきた時期の単衣には塩瀬の帯を、秋が深まり袷を着用するようになればほっこりとした風合いの紬地の帯などをあわせてもよいでしょう。
どの帯をあわせればいいか迷う場合は、半幅帯や兵児帯もおすすめ。カジュアルシーンに限られますが通年使えるものが多いため、あわせる着物の仕立てを選ばず活躍してくれます。
秋の着物コーディネートのポイント
秋は時期によって夏着物~袷まで着用する気温の変化が激しい季節ですが、どの仕立ての着物であっても次の3つを意識しておけば、季節感のあるコーディネートを組むことができます。
・秋のモチーフを取り入れる
・素材感を意識する
それぞれの内容を詳しくチェックしていきましょう!
秋におすすめの色
秋はこっくりとした深みのあるカラーがおすすめ。空気が澄んだ秋空の下では濃い色も重くなりすぎず、色のコントラストが美しく映えるので、着物や帯、小物などに取り入れてみましょう。
また、赤や黄色など、紅葉と調和するような温かみのある色や、ハロウィンをイメージしたオレンジやパープルなども秋らしさを演出できるカラーです。
秋におすすめのモチーフ
紅葉や木の実、キンモクセイといった秋をイメージさせるモチーフを、着物の柄や帯留などのデザインに取り入れるのも◎。お月見シーズンであれば月や兎、ハロウィンシーズンであればカボチャやコウモリなどもよいでしょう。
着物は季節を少し先取りするのがオシャレともいわれているので、11月頃にはツバキや雪輪など、冬のモチーフもおすすめ。また、季節問わずまとえる更紗柄も深みのあるシックなデザインのものが多いので、秋の装いにぴったりです。
秋におすすめの素材
秋は温かみのあるほっこりとした風合いのものがおすすめ。残暑が厳しい9月は絽や麻といった夏の素材の方が快適ですが、秋が深まる10月半ばごろになれば、ふっくらとした縮緬地の着物や、やわらかくて保温性にすぐれた結城紬、温かみのあるウールの着物などがおすすめです。
秋は羽織のオシャレも楽しめる
秋は羽織などのアウターのオシャレも楽しめる季節。羽織はコーディネートに華やかさやアクセントをプラスできる上、防寒対策や帯の崩れ防止などにも役立ちます。
秋の着物にあわせる襦袢は?
襦袢は、基本的には着物にあわせて選びましょう。
袷の着物には、裏地がついた袷用の長襦袢、単衣の着物には単衣用の長襦袢、夏は透け感のある絽や麻の長襦袢をあわせます。ただし、寒い時は下着やアウターで調節できるので年中単衣の長襦袢を着用している人も多いようです。
また、カジュアルシーンであれば簡易的な二部式襦袢や筒袖の半襦袢もおすすめ。二部式半襦袢は上下が分かれているもので、夏用と秋~春向けのものがあります。一方の筒袖半襦袢は上衣のみのもので、下は裾除けやステテコ、ペチコートなどをあわせます。こちらは通年着用できるので、気温的にどの仕立ての襦袢を着ようか迷うときにも役立ちます。
秋のコーディネートまとめ
最後に、秋のコーディネート例をご紹介します。ぜひ参考にしてみてください!
▲キーカラーをブラウンにしたコーディネート。銘仙の着物と木綿の着物に、ベロア素材の半衿を合わせています。
▲木綿レースの着物にレースの兵児帯をあわせた、レース×レースの組み合わせ。深みのあるグリーンを黒で引き締め、シックなクラシカルコーデに。
▲テーマはチョコミント。ブラウンのグレンチェックの片貝木綿に、ミントグリーンのアンティーク名古屋帯をあわせ、極め付きにチョコ風のハートの帯留めをプラス。
▲グリーンとレッド、イエローを織り混ぜ、紅葉と一足早いクリスマスの両方をイメージ。
▲くすみピンクとバラ柄のクラシカルな着物に黒バラの名古屋帯をあわせて、ダークなロマンティシズムを追求。
▲パープル×ブラックコーデ。名古屋帯の麻の葉柄を蜘蛛の巣に見立てて、さり気なくハロウィンを意識。
秋を感じる時期が短くなっているように感じる昨今ですが、だからこそ秋ならではのファッションにこだわるのも粋。気温の変化が激しく何を着ようか迷う日は、ぜひ今回の内容を参考にしながら、快適にオシャレを楽しんでみてください。